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怖くない!ロボット支援前立腺全摘除術のこと【前立腺がん通信㉛】

投稿日2022/07/19  更新日2024/01/28

この記事は、2022年に前立腺がんの告知を受けた魔太郎の体験談です。
前立腺がんの治療や気づきなど、この病気で不安を抱えるひとに向けての情報発信になります。

 

おはようございます!
魔太郎です。

前立腺がんの告知を受けたのが2022年2月24日のこと。

魔太郎の前立腺がんは、転移はなく前立腺にとどまる「限局がん」で、悪性度は中リスク。

ですから、すぐに命がなくなるものではありません。

さてさて今回は、入院当日から翌日に行われた手術のことを中心にお伝えしましょう。

ロボット手術を受けた体験談を、記憶を頼りにちょぴり恥ずかしかったことも含めて・・・。

ではでは、始めますよ。

 

 

入院当日は説明と歯の検査

6月28日の午前9時頃に、荷物を抱えて古女房と病院へ。

1階で入院受付を済ませて、目指すは7階の泌尿器科。

宮崎大学医学部の附属病院は、でっかい建物がいくつも連なっているので迷子になりそう。

コロナ感染症の影響で、古女房は7階泌尿器科のナースステーションの前でお別れ。

付添いと面会は原則として禁止になっています。

4人部屋の窓側のベッドが魔太郎に与えられた領地。

天気がよくて眺めがいいので

居心地最高じゃん

とまるで旅行気分をちょっぴり味わうことに。

こういうところは呑気な性格なのですよ(笑)

入院患者は先客が二人。

それぞれが天井から吊り下げられたカーテンで仕切られていますので挨拶もなし。

荷物を片付けてベッドでぼんやりしていると、いろんな担当者が入れ替わりで訪れて説明会が行われ、各種の検査を受けることに。

たとえば

  • 看護師さんが血液採取して注意事項の説明
  • 薬剤師さんが手術で使う薬の説明
  • 担当医師の顔見せ挨拶
  • 麻酔科医師の全身麻酔の説明
  • レントゲン撮影
  • 歯科健診

などなど、数分で終わるものがほとんどですけれど。

昼食と夕食は「低残渣食」といって胃腸に負担のかからないメニューで、午後に浣腸をしますとのこと。

暇なので「病院探検」と称して、院内をウロウロしながら検査を受けることに。

特に時間がかかったのは歯のこと。

歯石を取り、下顎に差し歯があるのでマウスピースを作成することに。

歯の治療の目的はふたつ。

ひとつ目は、口の中の歯周病菌などでの合併症を防ぐこと。

ふたつ目は、全身麻酔時に肺へ酸素を送る器具を口に差し込むので、差し歯がとれて誤飲を防ぐためにマウスピースをつくること。

手術をするのに歯の治療が関係あるなんてビックリです。

説明と検査が終われば夕方からは暇なので読書三昧。

宮部みゆきさんの「今夜は眠れない」というミステリー小説。

入院前日に本屋さんで適当に選んだもの。

「タイトルが面白いですね」と、あとで看護師さんに笑われましたよ。

 

寝ている間にロボット手術

手術は入院した翌日です。

朝食はもちろんありません。

点滴のチューブを左腕の手首のちょい上に挿して、両足に弾性ストッキングを履くことに。

手術後はしばらく動くことが出来ないので血栓予防とのこと。

血栓とは、血管内にできる血の塊のことです。

血栓予防は、けっこう大事なことのようで、担当医師からは「血栓が心臓に達すると命にかかわるから」との説明があったほどです。

弾性ストッキングは、ふくらはぎをきつく締めつけてきます。

見た目は白いハイソックスのようで、この歳でのこの格好はちょいとばかり恥ずかしさも(笑)

 

ロボット支援前立腺全摘除術とは

前立腺がんの摘出手術には大まかに3種類あるようです。

それは

  1. 開腹手術
  2. 腹腔鏡手術
  3. ロボット手術

です。

現在では「腹腔鏡手術」と「ロボット手術」が主流のようです。

腹腔鏡手術 はお腹に小さな穴を数カ所開けて、炭酸ガスで腹部を膨らませて専用のカメラや器具で手術を行うもの。

開腹手術に比べて出血量が少なく傷も小さいので体への負担が少ないです。

ロボット手術は「ロボット支援前立腺全摘除術」といわれるもの。

腹腔鏡手術が人の手で作業するのを、手術用ロボットを使って遠隔操作で手術をします。

医師はモニター画面を見ながらロボットを操り、患者に手を触れることはありません。

モニター画面は3Dで立体的に表現され、30倍に拡大されるのできめ細やかな手術が出来ます。(病院のパンフより)

さらに、ロボットを使うことで微細な手の震えを制御でき、腹腔鏡手術よりも手術時間の短縮や精密な手術が出来るとのこと。

医師によると、太めのボールペンを刺したような穴を開けるそうです。

余談ですけど、このロボットは ダビンチ と呼ばれています。

すごい医療機器なんでしょうね。

でもね、ガンダムやパトレイバーといったロボットアニメ大好き人間には、ワクワクしてしまうメカですよ。

魔太郎は手術を選択するときに、「腹腔鏡手術の病院」と「ロボット手術の病院」の2箇所を紹介されました。

宮崎県ではロボット手術ができる病院は、宮崎大学医学部附属病院だけ。

ところが、手術待ちが40人ほどいるとのことで、手術日はいつになるかわからない状況。

そこで、魔太郎が古女房と相談してロボット手術を選んだ理由を、特別にふたつ教えましょう。

  • 前立腺がんは進行が遅いこと
  • ロボット手術の方が精度が高いと判断したこと
  • 手術まではホルモン療法で「がん」を小さくする治療ができること

です。

ですから魔太郎の手術が、がんが見つかってから4ヶ月で出来たのはラッキーだったと思っています。

医師からは「手術日は事情によって突然決まります」と説明を受けていましたが、実際に病院から連絡があったのは 手術日の2週間前 でした。

魔太郎はがんの告知を受けて、1年間は治療に専念すると決めていました。

というのも、ホルモン療法での通院や、手術後に尿失禁が治るのに3~6ヶ月かかるというので、すぐには仕事復帰は難しいのではと思ったから。

それとね、40年近くサラリーマンやってきて

ちょっと休みたい

と、思ったのも本音です。

これ、古女房には内緒ですよ(笑)

60歳を過ぎて仕事は1年契約の嘱託でしたし、多少の蓄えでしばらくはなんとかなると判断したので仕事は辞めました。

年金支給までにはあと3年あるのですが、きちんと病気を治して休養して「人生の再スタートを切る」ことにしたかったのです。

ですから急な手術の連絡に、すぐに対応できたところなのです。

 

硬膜外麻酔から全身麻酔へ

手術は午前11時の予定でしたが、3階の手術室のフロアーに案内されたのは午後12時20分頃。

1番目の手術に時間がかかったのが理由でしょう。

こういうときの待ち時間というのは、時間が経つのが異常に遅いと感じるはなぜでしょうね。

手術室は5メーターほどの幅広の通路の両脇にいくつも並んでいて、魔太郎が案内されたのは奥まったところにある左側の3番の手術室。

小学校の教室の2倍以上の広さがありそうな手術室に入るとダビンチが見えました。

ホントはダビンチの見学会でもしたいところですが、手術台に登ってまずは 硬膜外麻酔 の準備です。

(硬膜外麻酔とは背中から注射して、下半身麻酔をするもの)

体を左側に向けて背中をエビのように丸めます。

麻酔医は入念に背骨の真ん中あたりをさすって、軽く押したりして注射する位置の確認をしているようでした。

この時間がけっこう長く感じられて 怖い という感覚が生まれます。

一気に不安感が出てくる瞬間です。

これは「生検」といって、5ヶ月前に前立腺の細胞を取る検査のときにも味わった感情なのでよくわかるのです。

そして、「消毒します」「しばらく待ちます」との声がけがあって「チクリとしますよ」の声が聞こえたら背骨に軽い痛みを感じて終了です。

思ったほど痛くはなかった

と、いうのが正直な感想。

あとでわかったことですが、背中に注射をしたところからは細いチューブがついていて、術後の痛み止めを入れる管になっています。

硬膜外麻酔が終わると隣の柔らめの手術台に移動して、鼻と口を覆う酸素マスクのようなものを被せられました。

全身麻酔の準備でしょう。

「テレビドラマのドクターX とかの手術場面で見たやつだ」なんてちょっぴり感動(笑)

でもね、記憶があるのはここまででしたよ。

 

麻酔が切れたら

入院した日に麻酔科医からは「手術は寝ている間に行いますから安心してください」と説明がありました。

ありがたい

と思ったのは、魔太郎が極度の怖がりさんだから。

ですから、麻酔が切れてうっすらと意識が戻ったのは、ベッドに乗せられた自分の体が3階の手術室を出て、7階の病棟に向かっていた頃だったと思います。

あとで古女房に聞いたら、手術室に行って帰ってくるまでの時間はおよそ5時間とのこと。

夕方の6時を過ぎていたとのことです。

7階の病棟に向かっていた時に感じたのは、下腹部それもオチンチンあたりの猛烈な痛み。

オチンチンを炭火で焼いているような痛み(?)とでもいいましょうか、なんとも凄まじい痛さなのです。

そして同時に味わった痛みは「喉の痛み」です。

全身麻酔をすると自分で呼吸ができなくなるので、口に器具を入れて肺近くまでチューブを入れると聞いていたのでその痛さでしょう。

オチンチンあたりの痛みと喉の痛みが、強烈に断続的に続いたのを覚えています。

麻酔が切れたあとの痛み止めが、まだ効いてなかったからだと思います。

あまりの痛さに「おおおおっー!」と何度も叫んだことか。

叫ばずにいられなかったのです。

痛み止めが効いてきたのか叫ぶのが収まり、少し余裕ができて壁の時計を見たら午後9時を過ぎていたと思います。

うつらうつらとしていたら、午後11時頃に突然の吐き気。

ナースコールを押して口元に容器を置いてもらうと、一気に胃の中のモノを吐いてしまいます。

といっても、胃の中は空っぽなので胃液が出るだけですが。

痛みに耐えながらフットマッサージャーの空気を出し入れする音が「プシュー」と規則正しく聞こえたのを覚えています。

「痛いな!」とか「プシューうるさいな」とか思いながら、こんな感じで一晩が過ぎるのです。

手術して二日間はナースステーション横の個室でした。

痛さに襲われながら気になったのは

いま何時なんだ?

ということ。

個室の壁掛け時計は「壊れているんじゃないの」と、思えるほど動きが遅いのでした。

 

チューブに繋がれて

手術の翌日の朝に、少し自分の体の様子を確認してみると

  • 鼻と口を覆う酸素マスク
  • 左手首に点滴
  • 右脇腹にドレーンというチューブ
  • 背中に硬膜外麻酔チューブ
  • オチンチンに導尿カテーテル
  • 右手の指先に、なにかのモニター装置
  • 胸のあたりに心電図を測るようなケーブル
  • 両足のふくらはぎに、空気で動くフットマッサージャー

がついているようでした。

右脇腹のドレーンというのは、お腹の中の血液などの不純物を吸い出すもの。

背中の硬膜外麻酔チューブは、背骨の中心辺りから細長いチューブが背中にテープで固定されて肩越しに出て、痛み止めが入ったの容器(500mlペットボトルのハーフサイズぐらい)に繋がっています。

手術して3日ほどは痛みが強くなると、背中の硬膜外麻酔チューブにつながった痛み止めが入ったの容器のポンプを、自分で押して痛みを和らげることが出来る仕組みでした。

これらのチューブは、数日たつと徐々に取れていくことになります。

 

手術翌日からの歩行練習

手術の翌朝は6時頃には目が覚めました。

午前中に酸素マスクを鼻からチューブで酸素を送るものに変えてもらって、呼吸が楽になりました。

右手の指先についていたモニターの器具と心電図をとるようなケーブルと点滴も取れて、さらにフットマッサージャーも取れてかなり楽になりましたよ。

朝食はありませんでしたが、昼食から自分で食べることが出来ました。

「軟飯」といって柔らかめのご飯160g、「豚肉のカレー風味焼き」に「大根と水菜のサラダ」と「野菜とベーコンのスープ」にヨーグルトです。

おかずは全部食べれましたが、ごはんは3分の1ほど残しました。

食べる元気がまだ戻らないのです。

手術翌日の午後に看護師さんから「歩きましょうか」と声がけが。

動いたほうが回復が早いとのこと。

手術前の説明で言われていたので頑張ってみることに。

ところがです。

体にはまだ3本のチューブがついたままです。それは

  • オチンチンの導尿カテーテル
  • 背中に硬膜外麻酔チューブ
  • 右脇腹にドレーンというチューブ

です。

導尿カテーテルのオシッコを貯める袋と硬膜外麻酔チューブにつながった痛み止めの容器が入った袋を、コロのついた支柱に取り付けて、右脇腹から出たドレーンの袋を首にかけてさあ出発。

といっても支柱につかまりながら看護師さんのサポートを受けてゆっくり、ゆっくり。

背中のチューブからの痛み止めが効いているので激痛はありませんが、オチンチンに管が入ったままですから歩き難いこと、歩き難いこと。

それでも頑張って30mほど歩いて終了です。

帝王切開で出産した古女房からも、翌日には歩いた話を聞いていたので、ここは頑張らねばと思ったところでした。

 

寝たままの体拭きは申し訳なくて

手術の翌日の午後には入浴の代わりに体拭きです。

20代と思われる女性の看護師さん二人で、手足や体を温かい布のような紙でできたタオルで拭いてくれます。

おしりの下に吸水マットを広げて、オチンチンに温めのお湯をかけて拭いてくれました。

魔太郎は目をつぶってされるがままに。

いくら仕事とはいえ「大変な仕事だな」と感謝の気持ちでいっぱいです。

 

手術後三日目に大部屋に移動

回復が順調だったのでしょうか手術後3日めの午前中に、大部屋(4人部屋)に移動です。

久しぶりに見る空は青空。

このときに

やっと手術が終わったのだ

と、実感したところです。

それはね、ナースステーション横の個室は窓を見ることが出来ない位置にベッドがあったから。

この日の昼食のメニューは、なんと赤飯に鯛の切り身の塩焼き。

「手術後の山を超えたお祝い」かなと、勝手に解釈して美味しくいただきました。

でもね、鯛の塩焼きの塩味が足りません。

古女房だったら文句のひとつでも言うところですが、病院食ですからここは我慢です。

理性をもった大人ですから(笑)

 

まとめ

今回は、入院当日から翌日に行われた手術のことを中心にお伝えしました。

ロボットを使った手術の体験談と、入院してから4日間の様子でした。

多少記憶の間違いがあったかもしれませんが、退院したら ブログのネタにするのだという野心 がこの記事を書く原動力になりました。

6,000文字を超える記事を書くのは初めて。

偉いぞ魔太郎!

偉いぞ、ココまで読んでくれたあなた!

ロボット手術は開腹手術に比べて体の負担が少ないということでしたが、開腹手術を経験したことがないので比較のしようがありません。

でもね、麻酔が切れてから痛み止めが効くまでの約2時間の痛さは、想像以上のものでしたよ。

さてさて、今回はここまで。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

では、またね!!

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追伸:魔太郎

手術で「オチンチンまわりの毛剃が恥ずかしいなと」思っていた魔太郎です。

 

ところがです。

 

手術から数日経ってから傷の位置を確認してみると、下腹部ではなくておへそを中心に周囲の上半分を囲むような位置で穴が開けられていました。

えー、ココから入れたの?

と、ビックリ。

 

傷のあとは5箇所。

直径が10mmから15mmが4箇所、へそ上2センチのところは40mmでした。

ドレーンを入れた穴だけひと針縫ってあるだけ。

あとは細いテープのようなものが傷口に数枚貼ってあって、その上からでっかい絆創膏のようなものが貼り付けてありました。

医療技術の進歩は凄いもんですね